ホンダ・インサイト、初乗りの印象。
手頃なプライスで登場したハイブリッドカーとして注目を浴びているホンダのニューインサイトに、昨日、都内で開かれたプレス試乗会で乗ってきました。もうディラーの試乗会で乗った方もいるでしょうが、僕の第一印象をひとこと。
上の写真の赤いクルマは、無段変速機のCVTに7段マニュアルモードとシフトパドルを装備、タイヤも標準仕様より扁平でワイドな185/55R16を標準装着するなどした「LS」で、僕がドライビング好きにオススメしたいモデルであります。
ところで、初代インサイトなど初期のホンダハイブリッドのエンジンは、モーターが起動すると「電気ターボ」と呼びたくなるような盛り上がり感を見せてくれたのが気持ちよかったのですが、新型インサイトにはそういう感触は希薄で、モーターがエンジンを満遍なくアシストする、わりと普通の印象になっていました。
実はこれ、ハイブリッドとしてはまっとうな進化を遂げたことを示しているのですが、運転する面白さという意味からいうと、若干寂しくなった観は否めません。
それに対して新型インサイトはシャシーとボディの出来がよく、ボディ剛性が充分に確保されているので、サスペンションはむしろ若干硬めですが、乗り心地は意外と快適だといえます。
と同時に、リアの床下にバッテリーとハイブリッドシステムの頭脳であるIPUを収めたレイアウトなどにより、重量配分がよくて重心の低いシャシーが実現されているためもあって、コーナリングが気持ちいいのも特徴のひとつですね。
写真は、上にデジタルのスピードメーターを、下にタコメーターを配した2段重ねのメーターパネル。普通のクルマとは違うものに乗っているという印象を強調してはくれますが、デザインと色使いには好みが分かれるところでしょう。
この斜め後ろからのスタイルからも想像できるように、空力性能を追求したデザインのボディは、リアシートのヘッドルームを若干きつくしてはいますが、リアのラゲッジルームはたっぷりと確保され、実用性は良好だろうと思われます。
ちなみにボディサイズは4390×1695×1425㎜、ホイールベース2550㎜と、全長は長めですが、幅が5ナンバー枠に収まっているところに好感が持てます。
エコカーといえども、まずはクルマとしてマトモで、クルマとして魅力的でなくてはならないと僕は思っていますが、その点ではニューインサイト、基本的に好ましい素質を持つハイブリッドカーだというのが、僕の第一印象でありました。
アウディR8 V10という、高性能スポーツカーの新種。
2月の第2週後半から第3週の頭にかけて、スペイン南西部アンダルシア地方に赴き、アウディのスポーツカーレンジに追加されたトップモデル、正式車名アウディR8 5.2 FSI クワトロ、通称R8 V10のプレス試乗会に参加してきました。
これは以前からある4.2リッターV8エンジン搭載のアウディR8に加わったハイパフォーマンスバージョンで、アルミスペースフレームのミドシップに5.2リッター直噴V10を搭載、ビスカス式クワトロ4WDシステムにより4輪を駆動します。
525psのパワーと530Nmのトルクで1620㎏の車重を走らせるパフォーマンスは最高速316km/hというスーパーぶりですが、にもかかわらずこのR8 V10、スムーズな乗り心地と余裕のある居住空間が美点の快適なクルマであります。
上の写真のレッドと、写真の後方にいるブルーは、シングルクラッチ2ペダル6段MTのRトロニックを、このグレーは3ペダルの6段MTを装着していました。ちなみにこの色の名前は「スズカ・グレー」、もちろんサーキットからの命名です。
アンダルシア地方のワインディングとサーキットをドライビングした結果はなかなかの好印象。必要ならば毎日でも使える2000万円前後の高性能スポーツカーをお探しのエンスージアストに、またひとつ好ましい候補の登場であります。
3台の大型スポーツサルーン。
2月第1週後半の某日、気持ちよく晴れた箱根で3台の大型スポーツサルーンのステアリングを握りました。向かって左から、アウディS8、マセラティ・クアトロポルテS、それにジャガーXJ4.2ソヴリンLというかなり豪勢な陣容であります。
いずれも単なる豪華大型サルーンではなく、そのシリーズのなかで特別に高性能なモデルとして調教されているか、あるいはクアトロポルテのようにシリーズ自体が最初からスポーツサルーンとして生み出されたクルマでありますね。
しかもこの3台、互いの国籍もメーカーのキャラクターも違うし、例えばアウディS8は4WDを採用するなどメカニズム的にもそれぞれ独自のものを持っているので、当然乗り味もかなり違います。皆さん、どれに興味をお持ちでしょうか?
ちなみにS8=1510万円、クアトロポルテS=1595万円、ソヴリンL=1230万円。
これは3台を反対側から望むの図。一番手前がジャガーXJソヴリンのロングホイールベース版たるLですが、5本スポークのホイールに標準装着の超扁平タイヤ、なんと255/35ZR20、つまり今や20インチを履きこなしているわけです。
この3台の向こうに停まっているクルマ、実はアストンDBSタッチトロニックでして、今度は都内から箱根まで乗ってくる機会に恵まれたのでした。3台のサルーンもDBSも自動車誌『LE VOLANT』4月号にそのリポートが掲載されます。