458万円の4座フェラーリはいかが?
12月後半某日、自動車誌『Tipo』2月号の連載ページ、「ドラマティックシーン」にリポートするため、1990年型フェラーリ・モンディアルtに乗りました。これは348tb/tsをベースにした4座フェラーリで、3.4リッターV8をミドシップに縦置きし、その後方に5段ギアボックスを横置きしています。エンジンとギアボックスが交わる部分の形状をアルファベットを使って表現したのが、車名の最後の「t」というわけです。ただし、コクピット後半にもう1列のシートを設置するために、ホイールベースは348tb/tsより200㎜長い2650㎜もあり、したがって全長も4530㎜に達するなど、ピニンファリーナデザインのミドエンジンフェラーリとしては若干間延びしたスタイルになっているのは、上の写真からも感じ取れるはずです。
コクピットは同時代の348tb/tsと同じく、意外なほど直線的でビジネスライクなデザインでまとめられていますが、ダッシュボード、メーターパネル、コンソールなど、まさにフェラーリの文法どおりの空間でもあります。しかも、フロアに切られたゲートから生える細くて長めのシフトレバーと、そのトップに備わる小さな球形のノブを持つギアシフトは、慣れれば気持ちいいのひとこと。ステアリングには348tb/tsにはないパワーアシストが備わっていて、車庫入れの際などの据え切りも楽です。リアシートの写真はありませんが、ボディ形状から推測できるとおりヘッドルームはこの手の4座スポーツとしては充分な部類ですが、レッグルームはほぼミニマム。したがって子供用と割り切る方が無難だと思いました。
このモンディアルt、横浜と都内西部で試乗しました。1500㎏強の車重に対してパワーは300psですから、400psオーバーの現代のスーパースポーツに慣れた身体にはさほど刺激的なパフォーマンスとはいえませんが、回せば回すほど活気を増す4カム32バルブV8を駆使しての加速は、充分に爽快なものでした。しかもそのシャシーも、乗り心地の面でもハンドリングの面でも気になるような旧さは感じられませんでした。というわけで、真夏のエアコンの効きと、それを効かせたときのエンジンの調子に、もしも問題がないとするならば、今日の路上で普通に使えるのではないかと思ったほどでした。さてどなたか、18年前のミドエンジン4シーター・フェラーリを足にしてみる勇気のある方はいませんか? ちなみにオドメーターの数字が2万8000㎞強にすぎないこのモンディアルt、東京環八沿いの某ショップにおける車両価格は、458万円とのことであります。
ところで、このフェラーリ・モンディアルtをもって、僕の2007年度のスポーツカー試乗も事実上終了したといえます。今年はたくさんのアクセス、ありがとう御座いました。来年も『SSCC』=『三軒茶屋スポーツカークラブ』をどうぞよろしく!
確か一時松任谷正隆さんが所有されていました。
こちらこそ今年もお世話になりました。
来年もよろしくお願いします。
by らた (2007-12-30 19:18)
今年最後の試乗、お疲れ様でした。
来年も楽しく拝読させていただきます。
by NO NAME (2007-12-31 10:37)
始めまして!
記事を楽しく拝見させて頂きました(*^_^*)
モンディアルtのみで2年半を過ごしています~
by tomickey (2008-03-03 22:11)