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SSCC│TAKUMI YOSHIDA So-net blog

ポルシェ911のルーツ。

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先月末、ファーストクラスにアップグレードされたルフトハンザのフランクフルト便経由でオーストリアのザルツブルクまで飛んでいったのは、ポルシェ・スポーツカーの生誕60周年を記念するプレスイベントに参加するためでした。

そう、第二次大戦中のポルシェ設計事務所の疎開先だったオーストリアのグミュントで、フェリー・ポルシェがVWビートルのコンポーネンツを使ったミドエンジンのオープン2座スポーツ、ポルシェ356ナンバー1ロードスターを生み出したのが、今からちょうど60年前の1948年のことだったわけです。

でもそのロードスターは1台だけ造られた本当のワンオフで、その直後にフェリー・ポルシェとそのスタッフが同じくグミュントでビートルをベースに生み出したのがこのクルマ、手造りのアルミボディを纏った通称「グミュント・クーペ」と呼ばれる極初期型のポルシェ356クーペでした。グミュント製の356はクーペが44台、カブリオレが8台の合計52台つくられたといいます。

このクーペはロードスターと違ってビートルの1086cc空冷フラット4をリアに搭載、コクピットは後の356と違って2シーター仕立てでしたが、そのシートの後方には有効なラゲッジスペースが確保されていました。つまりこれが今日の911に続く、ポルシェ・リアエンジンGTの最初のカタチというわけです。

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これがそのコクピット。シートは上の写真からも分かるように、バックレストも左右で繋がったベンチタイプだったのが少々意外ですが、その点からもフェリー・ポルシェが意図したのが小排気量ながら快適なGTだったことが伺えます。

ダッシュに備わる計器類はスピードメーターのみですが、そこにはタコメーター代わりに各ギアのマックスが赤いラインで表示されています。

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エンジンは当時のVWビートル用をベースにした空冷水平対向4気筒で、排気量は今回もらった資料によれば1086cc。シリンダーヘッドに手が加えられ、ビートルのシングルに対してツインキャブレターを与えるなどして40psを発生。

それらの結果、空力的ボディを持つ356グミュントクーペは、4段ギアボックスを介して140km/hの最高速に達するといわれました。60年後の今日、モデルによっては軽く300km/hをオーバーする911と比べると隔世の感ありですが、当時の1.1リッタークーペとしては抜群の高性能だったのは想像に難くありません。
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komi

イベントでこれに空力パーツを付加したライトメタルクーペを見ましたが、グミュント・クーペはその原型なんですね。ルマンで優勝したこのモデルでは最高速が160kmと書いてありました。
ところで今回のイベントは雑誌の記事にはならないのでしょうか?是非、この貴重な体験を見開き10ページでお願いします。
by komi (2008-06-08 21:59) 

吉田 匠

komiさん、
そう、1951年のポルシェ初のルマン挑戦は、このグミュント・クーペをベースにしたクルマでおこなわれたのでした。
見開き10ページは無理ですが、『LE VOLANT』、『Genroq』、『CG』その他、多くの雑誌媒体でこのイベントをリポートしますので、乞うご期待!
by 吉田 匠 (2008-06-10 21:10) 

たけだ

吉田さんが行かれた少し前、5月はじめに私もグミュントを訪れました。一人旅だったのですがグミュント博物館のマスター(の息子)に案内されて、当時の設計事務所(研究所、工場)の内部を偶然見ることが出来ました。
by たけだ (2008-07-03 22:47) 

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