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SSCC│TAKUMI YOSHIDA So-net blog

ジュニアZという名のアルファ・ロメオ。

911ターボのスペイン試乗会から帰った翌16日、ある雑誌のホットハッチ比較試乗の仕事で箱根芦ノ湖スカイラインに朝8時の集合となり、寝不足をおして出掛けたのですが、その記事とは別件でそのとき箱根に乗っていったのがこの赤い小型GT、アルファ・ロメオ ジュニアZでした。

ジュニアZは1969年11月のトリノショーでデビュー、1970~72年に1300が1108台、1972~75年に1600が402台の、合計1510台しか造られていない、市販型アルファとしてはかなりレアなモデルだといえます。

ジュリア系スパイダーと基本的に同じホイールベース2250mmのショートシャシーに、車名の「Z」の元になったザガートの2座クーペボディを着せたFRのスポーツGTで、その最大の魅力はまぎれもなくザガートデザインのボディにあります。

まずはこのフロント、プレクシグラスのカバーに覆われた4灯式ヘッドライトと単純化したアルファの盾形グリル、なにやらタダモノじゃありません。

とはいえ、ジュニアZのスタイリングの魅力はこのプロフィールに集約されているといえます。

低いウエストラインの上に構築されたキャビンは、50年代末のアバルトや60年代のアルファSZやTZといったコンペティションクーペに用いられたウィンドーアレンジメントをモダナイズしたものといえ、いかにも70年代を目指したデザインらしくシャープな直線を多用しながらも、その根底に60年代の丸いレーシングクーペの面影が見えるところが、僕らのような年代のクルマ好きにはたまらない魅力なんですね。

ジュニアZをデザインしたのはいうまでもなく、SZコーダトロンカやTZなど、60年代の精悍にしてチャーミングなザガートクーペを数多く手掛けた当時のカロッツェリア・ザガートのチーフスタイリスト、エルコーレ・スパーダその人であります。

同じアルファのクーペでも4シーターのスプリントGT系とはまったく異なるデザインのインテリアも、ジュニアZの魅力のポイントだといっていいでしょう。

スパルタンなダッシュパネルに大径メーター、斜めに突き出す5段MTのシフトレバー、標準品ではありませんがナルディのウッドリムステアリング、それにジュニアZ専用のヘッドレスト収納式バケットシート・・・、このコクピットにゾクゾクっとくるのは僕だけでしょうか。

エンジンは例のアルファ・ツインカムで、排気量は1290cc、2基のツインチョーク・ウエバーキャブレターを備え、標準仕様のパワーはDIN表示で89ps/6000rpmにすぎませんが、このクルマそのもののエンジンはハイリフトカムなので軽チューンしてあるといいます。

手前に備わるアルマイトブルーのオイルフィルター簡易交換用ホールダーは、もちろん標準品ではありませんね。

プロフィールと並んでザガートらしい、あるいはスパーダらしいのが、絵に描いたようなコーダトロンカを大胆に採り入れたこのリアクオータービューでしょう。

しかもこのジュニアZ、テールゲートが電動で少し開いてベンチレーションの役目を果たし、そこからさらに手を使って大きく開くとハッチバックになってリアに荷物を積み込めるという、意外な実用性まで備えたGTクーペなのです。

ちなみにこのジュニアZが履くホイールは標準品ではなく、ワイアホイールで知られたボラーニ製のアロイ、それもたぶんマグホイールという、これまたレアモノであります。


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iwao

ジュニアZ、いいですねぇ~^^
当時のアルファの斜めだしのシフトレバーがそそります。
ブレラとか159とか、最近のモデルは肥大化傾向なので、コンパクトでスポーティーなアルファの出現を期待してしまいます。
ニュージュニアZなんて、出ないかなぁ~
by iwao (2006-05-23 07:48) 

吉田 匠

そうなんですよiwaoさん。
ジュニアZは全長3900×全幅1550×全高1280mmという小ささ、特に1550mmという幅は今どきのクルマと比べると驚異的に狭いですね。
ちなみに車重は970kgとまずまずの軽さです。
by 吉田 匠 (2006-05-23 13:13) 

以前吉田さんが「思いがけないイタ車が登場します」って
話してらしたのがこちらの「ジュニアZ」でしょうか???
古いけどステキですねぇ(●^o^●)
正面から見た「目」の雰囲気がスキです♪
最近、妙に古めかしいホイール&ふっといタイヤに惹かれています(笑)
ステアリングが好きだなって思ったら、やっぱりナルディでしたか♪
ドアノブってどのようになってますか?キー部分を押すの?引くの?
70年代のZが現役だなんて、
私のデルタは まだまだ「ひよっこ」ですねぇ(●^o^●)
by (2006-05-23 17:15) 

吉田 匠

さすがイタ車大好きマダムは鋭い質問をしますね~。
ジュニアZのドアノブ、キイホールのある部分を残して外側の四角いメッキのパネルを外側に引くと、ロックが外れてドアが開きます。

よかったらBookmarkのリンクから『TAKUMI YOSHIDA.log』を覗いてみてください。
最新版にもっと旧いイタリア車がたくさん登場してますよ。
by 吉田 匠 (2006-05-24 00:08) 

ハマの狼少年

斜めにシフトが突き出したクルマがあるなんて初めて知りました。
世の中には魅力的なクルマがたくさんありますね。
僕が生まれてまだ20年しかたってないので自分の知ってるクルマなんて氷山の一角です。
いろんな情報を取り入れていろんなクルマのことをもっと知りたいもんです。
by ハマの狼少年 (2006-05-24 12:13) 

吉田 匠

ハマの狼少年さんへ、
50年代のジュリエッタ系から60~70年代初めのジュリア系まで、当時のアルファ・ロメオのギアシフトはみんなあんな風に斜めに突き出していました。
そう、色々個性的な奴に出遭えるから、旧いクルマの世界は面白いんですね。
by 吉田 匠 (2006-05-25 09:42) 

shun-arz

カージャーナリストの方がJuniorZを所有とは素晴らしいと思います。夏の暑さの為にエアコン(クーラー)を付ければ年中乗れます。私の場合は軽自動車のコンプレッサーと軽用のオルタネータ
バッテリーはRED-TOP 30を使用エンジンルームの改造は少なくて済みます。室内が狭いので軽自動車ようで十分冷えます。
by shun-arz (2008-06-12 21:16) 

shun-arz

カージャーナリストの方がJuniorZを所有とは素晴らしいと思います。夏の暑さの為にエアコン(クーラー)を付ければ年中乗れます。私の場合は軽自動車のコンプレッサーとオルタネータ、バッテリーはRED-TOP 30を使用。エンジンルームの改造は少なくて済みます。室内が狭いので軽自動車用エアコンで十分冷えます。
by shun-arz (2008-06-12 21:22) 

サカイほーかい

はじめまして。
ジュニアTZのサイドビューの画像を探していたらこのブログにたどり着きました。ジュニアTZのサイドビューは数ある小型FRクーペの中で一番好きなプロポーションです。さて唐突ではありますがこのサイドビューの画像を拝借して宜しいでしょうか?拝借する目的は私のブログでジュニアTZとホンダCR-Xのサイドビューを並べて公開してあぁでもないこうでもないと書き連ねたいからです。ご迷惑でしょうがよろしくお願いいたします。
by サカイほーかい (2016-12-31 17:36) 

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